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太田旗店の手染め部門、冨田浩二の職人魂をご紹介します。

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職人魂ストーリー VOL.3

冨田 浩二  Koji Tomita

思いを抱いていけば、なんとかなる

現在、装匠2課で手染めを担当する冨田課長。
入社以降、どのようなお仕事をされてきたのですか。

私が入ったときは社員が30人くらいしかいなかったので、こぢんまりとした、みんなで一生懸命やっているような会社でした。私は最初に版を使った手捺染を行うハンドプリント部門で1年勤務した後、刷毛を使った手染め部門で10年、機械によって大量印刷を行うオートプリント部門で10年勤務しました。現在は再び手染め部門に戻り、今年で33年目を迎えます。

当時、印象的だったことを教えてください。

入社したとき、相手が役職者であっても役付で呼んでなかったんですよ。当時の副会長やそのお姉さんのことを「~さん」「~姉さん」ってみんな(下の名前で)呼んでた。それでいいの?と思いながらも私も自然と呼ぶようになりましたね。結構アットホームな会社だなと思いました。今では社員が増えて、前と比べて人付き合いが少し大変。でも昔からのアットホームな雰囲気は、今でも社内に何となく残っているように感じます。
人数が少なかったときは、いわゆる「職人さん」がいたんですね。職人さんは、教えるというよりも見て覚えさせる。作業に関していろいろ口は出さないので、仕事をよく見て習得していました。あんまりわからなくても、聞けるような感じじゃなかったですね。当時は作業をよく見て自分なりに考えてやっていったので、仕事を覚えるのにそれなりに時間はかかりました。今は仕事の流れややり方は全部教えているので、覚えるのはやっぱり昔と比べて今の方が早い。そのかわり一人ひとりが経験を重ねていかないと、というところはありますね。

これまでに印象に残っている難しいお仕事は?

ぼかし染めはめったに来ないので難しいです。いわゆるグラデーション。今は手っ取り早くすると色を3、4種類作っておいて、1つの色を薄くしたり濃くしたりして順番にゆっくり重ねていったらグラデーションになるんですよ。それに対して古くからのやり方は、1つの色で水を引きながら大豆を搾った呉汁を使って自然とぼかしていく。ぼかしはどうしても、よく見ると刷毛を止めたところで色と色との境ができるんですよ。それを消すのがやっぱり難しいです。

仕事の面白いところはどこですか。

ものづくりをするところはどこも同じだと思いますけど、製品を作って出来上がりがいいと嬉しい。そしてそれを実際に使っているところを見たとき、「ああ、うちで作ったものがある」「作ってよかったなあ」と思います。街中を歩いていて、見覚えのある暖簾を見つけたときに「うちで作ったものか」と思うことはちょこちょこありますね。それに、前に製品が全国放送のテレビ番組(フジテレビ『バイキング』、2017年7月4日放送)に取り上げられたじゃないですか。まさか自分が作ったものがテレビに出るとは思わないので、そういうときに「よかったなあ」と思います。

取材に答える様子

製品が実際に使われているのを見かける、それがやりがいにつながるんですね。

もちろんやりがい感じます。でもそのやりがいを次の世代の人たちに少しずつ経験させていかないといけないとも思っています。ただ色を引くだけでは面白みがないので、次の世代の人たちにもちょっと難しい技術にチャレンジしてもらえば、染色の面白さがわかってくるんじゃないかなと思っています。

いろいろな部署を経験し、長いキャリアを積んでいる冨田課長。今興味がある部署はありますか。

興味がある部署としたら、縫製。自分で染めて自分で縫えたら、自分で好きなように作れる。縫製して作ってみたいものは、暖簾かな。染めの仕事は7割くらいが暖簾。どうせ作るなら縫製が一番難しそうな暖簾を作ってみたい。

これからの世代に、特に伝えていきたいことはありますか。

うちの会社で長く働いてもらいたいかな。うちの会社は役職者には厳しいけど、その他の人には優しい。それにきちんと休みももらえるいい会社だと思うよ。よそではない業種なので、それなりにいいこともあれば悪いこともあるけど、長く働くことによって見えてくることもある。生涯やっぱり勉強ですよ。手で染めていたら一つとして同じものができないので、やっぱりずっと続けていかないといけないと思っています。進歩というか、後退しないように下手にならないように日々頑張っているだけです。

最後に、現在の課題と今後の理想を教えてください。

やっぱりどうしても、手染めは手作業なので小さなミスが出るんですよ。製品を綺麗に作りたいなら、版やインクジェットで印刷したほうがミスは少ない。それにデジタルプリントは製品が短納期でできるし、グラデーションでも何でもできる良さがある。でも、手染めで作った横幕とデジタルで作った横幕とでは、風合いというか、できた感じが全然違う。染めは染めなりの味があるので、神社幟とか昔から染めで作ってきたものはそっくりそのまま受け継いで、大切にしていきたい。他ではできない「染めらしい染め」をしていきたいと思っています。

説明写真

とみた こうじ(装匠2課課長)

大分県臼杵市生まれ。高校卒業後、鮮魚店に就職したが朝が早く夜が遅い過酷な勤務体制を受けて2年で退職。当時から勤務していた親戚の紹介により、20歳で太田旗店に入社した。入社33年目となる現在は、刷毛を使った手染めを担当する装匠2課・課長として暖簾、幟といった製品の染色全般に目を光らせる一方で、後輩たちのの指導にあたっている。「職人っていうのは、自分で言うんじゃなくて人から言われるもの。まだまだ職人修行中だと思っています」と語る。

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